よそから延岡を訪れた人を居酒屋に案内した時、「刺身が美味しい!」と驚かれるのはよくあることです。また、「延岡の魚のレベルの高さは、別の街に住んでみるとよく分かる」とは、延岡人が都会に転勤した時になどによく聞く話です。この場合、「魚」とは、きっとスーパーで売られている刺身などのことを指している場合が多いのではないかと思うのです。
街の魚屋さんが数を減らし、スーパーの鮮魚売り場が魚と消費者をつなぐ最前線になっている現在、各スーパーは誇りとこだわりを持って美味しい魚を提供しようと努力しています。
延岡で、特に魚の質にこだわって30年以上営業を続ける『サンフレッシュむしか』の沢部誠一社長に話を伺いました。
沢部さんは北浦出身。漁師町で生まれ育ったせいで「魚は新鮮が当然」ということが体に染み付いています。スーパーを続けできた30年の中でも新鮮な魚を仕入れ、新鮮なうちに食卓に届けることを絶対に譲れない信念としてきました。
一言で言うと「その日の朝まで生きていた魚」を店頭に並べると言うことが基本です。だから仕入れが重要。季節や天候によって水揚げされる魚の質や量は変わります。さまざまは状況に対応して、いつでも良い魚を売り場に並べるには、仕入れ先とのつながりが一番大切になります。延岡の魚が基本にはなりますが、近隣の庵川、細島、蒲江の市場までを回って魚を仕入れます。
目標は、「魚好きの子どもを増やすこと」と沢部さんははっきり言います。
ヒラメやマダイ、アジ、イカ···姿のままの新鮮な魚が並ぶ売り場。貝類やカニ、エビも、石鯛やメジナなど、釣り人が持ち込む魚を仕入れることもあります。魚に関わるすべての人が元気になるように。努力は全く惜しまないつもりです。
母親に連れられた幼い子どもが、売り場の興味深げにみている姿を見ると嬉しくなる。そう言えばここは、小さな水族館みたいな魚売り場のようです。
「漁師さんたちは命をかけて魚をとってますから、私たちも一生懸命に売らなければ··」という沢部さんの言葉が印象的でした。関わる人の真剣さが延岡の魚の美味しさを支えているという思いを新たにしました。